グラフィック・パッケージ 佐々木英子
皆さんは、エッセイストでカヌーイストの野田知佑氏をご存じだろうか。「すぐ美味しい~♪すごく美味しい~♪」でお馴染みのチキンラーメンCMで愛犬ガクと共にカヌーに乗り、川下りをしていたあの人である。その映像は今でも鮮明に蘇る。身も心も解放されたようにゆったりと水辺を進むその姿に「同じコトをしたいな~、愛犬クロと」と何度となく思ったものである。その思いが叶って、数年前からカヌーを始めた。女性には珍しい程の乗り物好きである私にとって、カヌーは格好のスポーツだ。とはいえ白状すると、私が少女のように恋焦がれる憧れの君がカヌーイストらしいという情報を得ての言わば不純な動機も手伝っている。まあ、動機はともあれ何かを始める時のワクワク感は何度味わっても楽しいものだ。
早速あらゆるカタログを取り寄せ、無理やり巻込んだ弟分を引き連れてカヌーショップへ。そこで私はカタログでは見た事のない美しいファルトボートに一目惚れする事になる。後は迷わず「これ頂戴。まけてや!」とやってしまう私は大阪のオバちゃんそのもの。弟分だけでは飽き足らず、ショップのオヤジさんをも圧倒する迫力だ。私の選んだファルトボートはコンパクトに折り畳めておまけに担いで電車にも乗れるので、旅のスタイルも思いのままに夢広がる。話のわかるショップのオヤジさんと仲良くなった私は、まんまと山ほどのオマケを貰って気分はルンルン。草々に自宅へ艇を持ち帰り組立てた。思ったより力が必要で手間取ったが、段々とコツを掴む。そして何度となくスクールで練習もこなし迎えた愛艇の進水式。琵琶湖に注ぐ川のほとりで組立て、安物ながらシャンパンも用意して厳かに執り行った。
ドキドキしながらも穏やかな流れに漕ぎ出して行くと、陸からの視線では想像出来なかった風景が次々と目の前に広がり、自然との一体感にただただ心が解き放たれていく。大木が織りなす木陰では、吹抜ける風にそよぐ葉ずれの音が心地よい。今では私の心の中だけに生きる愛犬クロの存在を身近に感じながら水辺にたゆとう至福の時間。突然の来訪者に驚く事もなく、招き入れてくれた野鳥や魚たちにも感謝の気持ちでいっぱいになる。
最近では自宅から車で約15分の淀川・城北公園から艇を降ろし、鳥飼大橋まで行っては折り返し...と気軽にカヌーを楽しめる腕前になった(?)。相変わらず相棒は憧れの君ではなく、無理やりこの道に引きずり込んだ弟分ではあるのだが。カヌーは道具一式揃えてしまえばすぐ始められ、後は殆どお金がかからないし、身近な場所で自然との一体感を満喫できるスポーツでもある。今から何か始めたいと思っている皆さん。カヌーイストの仲間入りを考えてみられては如何だろうか。
兵庫県生まれ。奈良芸術短期大学グラフィックデザイン科卒業。(株)東急エージェンシーインターナショナル、(株)サンデザインアソシエーツ、(株)コーヨー21を経て、クリエイティブハウスサーヴ設立、現在に至る。主な仕事にグラフィック&パッケージデザイン、店鋪プランニング、空間デザインを手掛ける。
平成18年総会4議案可決、新任理事に16名賞平成18年DAS通常総会は5月25